宏得生活

私は宏得に40年間務めました。私は1974年に叔父の紹介で宏得に入社しました。当時の宏得は従業員がわずか10数名の地味な鉄工場でした。会社は板橋から土城に、さらには桃園にと移転し、私もそれに合わせて見習いからスタートし操作員、技術員、組長、課長、ベテランエンジニアへと昇格しました。

宏得の長所といえば、しっかりした制度のある個人企業で、ハードウェアにしろソフトウェアにしろ環境は一流だという点です。また給与、福利は最高ではないけれども私が宏得で40年働いてこられたのは「情け」のおかげだと思っています。当時は自主管理の時代で、私と二代目経営者の李総経理とは仕事中は上司と部下の関係でしたが、仕事が終われば兄弟のようでした。李総経理は私を信頼してくれ、当時の現場は全て私が取り仕切り、従業員はみな私のことを宏得の生き字引と呼んでいました。私の経歴や技術、人間関係のおかげで、同僚たちは皆よく協力してくれ、私も会社を自分の会社のように思っていました。

社会はもともと常に進歩するものであり、これまでのやり方もいつまで通用するか分かりません。今の宏得の制度は10年前、20年前とは異なります。新しい三代目経営者の経営方針もこれまでとは異なります。私は新たな経営者の下で宏得の経営がますます向上することを願っています。

私は1977年の初めに宏得に入社しましたが、当時の台湾の工業は黎明期で、生産設備や技術はまだ改良段階にありました。宏得の社訓（知新、革新、成長）会社は全力で必要とする人材を育成し、全工場の従業員が仕事を尊び、品質と納期は顧客の認可と信頼を得ました。会社の業務は絶えず成長し、日本や欧米の最先端の生産検査設備を購入し、生産規模を拡大し、次々と移転計画も持ち上がり、会社は板橋から土城、更に桃園へと移りました。会社は人間本位の、継続発展を願う幸福企業で、同僚も工場を誇りに思っているからこそ良い方向に発展し、安心して勤めています。現在は不自由のない退職生活を送っています。

1976年はちょうど農業社会から工業社会への移転時期にあり、なかなか仕事が見つからない環境にありました。

当時私は縁故関係で伝統的な作業で手の汚れる宏得ネジに入社しました。私はこれまでの間ソロバンからコンピュータ、現場からオフィスの財務専門員までを経験しました。宏得で過ごしたこの期間、私の人生に様々な素晴らしい思い出を作ってくれました。環境と挑戦が絶えず変化する時代にあり、今後は次の新しい世代が引き続き頑張ってくれると信じています。

私は1988年に宏得に入社し2017年に退職するまで30年近く勤務しました。新世代の従業員にとって一つの会社にこんなにも長く勤めることは珍しいことだと言えます。これまでの宏得での年月を振り返ると、
私がこんなにも長く務められた原動力は以下の点に要約されると思います。
一、 社長の野心や会社の作風、品質にはこだわりがあり、一貫して仕事を敬い、長期に渡って自動車用ファスナーの製作に取り組み、
まだ品質システムがなかっや30年前にすでに同僚とともにフォードQ1のドキュメント仕様を研究していました。
二、 会社では個々の成長、仕事における経験の蓄積と視野を広めるため、カーネギートレーニングや海上クルーズ研修、労働組合合同の日本自動車工場見学、ゴルフトレーニングなどを実施し、生産管理から総務、業務に至るまで全ての人員が経験を積むことで、その後の業務推進の助けとなりました。

三、 仕事と家庭の生活バランスを保つため、会社では家族のために7-14日間の休暇を取り海外旅行に行き、長時間の通勤により疎かになっている親子関係を修復する機会を提供してくれました。

人生とは1本の線のようなもので、一度道を決めたら振り返る余裕などなく、やるべきことは自ら決めた道をしっかり歩むことです。